生活活動に一工夫を(2025.09)

日常生活でどのくらい動いていますか。一言で「動く(活動する)」と言っても、「スポーツで体を動かしている」という方もいれば、「仕事では体を動かすが、運動は全くしない」という方、「机に座っていることがほとんどで、日中は全く「動かない」という方など、活動量は人それぞれだと思います。厚生労働省がまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する動作を「身体活動」と定義しています。また、身体活動は日常生活における労働や家事などの「生活活動」と、健康や体力の維持・向上を目的として、意図的に実施するスポーツなどの「運動」の2つに分けられています。
身体活動量が多い人は少ない人と比べて、心疾患、高血圧、2型糖尿病、肥満、がん、認知症などの発症リスクが低いことが報告されています。また、身体活動によって、うつや不安の症状が軽減され、メンタルヘルスや生活の質が改善するという報告もあります。しかし、近年は身体活動量が低下傾向にあります。要因として、「機械化・自動化の進展や新型コロナウイルス感染症の感染拡大により働き方や生活環境が大きく変化し、移動・歩行機会が減少したこと」などがあげられます。ただ、既に述べたように身体活動により疾病の発症リスク低減などのメリットが得られるため、日常の中で身体活動量が増えるような取り組みを行うことが重要です。
身体活動量を増やす際に基本となる考えは「座りすぎを避け、じっとしている時間が長くなりすぎないようにし、今より少しでも体を動かすようにする」です。しかし、実際には運動する時間を取れないという方も多いです。そのため、運動だけでなく、早く歩く、階段を上がるといった動作や家事なども「生活活動」として身体活動に分類されるため、この生活活動をうまく増やすことがポイントです。例えば、テレビやスマホなどを見て座りっぱなしになるのではなく、時々立ち上がって体を動かしましょう。お出かけの際は徒歩や自転車で移動してみたり、普段とは違う道を使って移動時間を増やしたりすることも良いでしょう。
無理をしても長続きはしません。無理のない範囲で少しずつ積み重ねることが長続きの秘訣です。健康で豊かな生活を続けるために、身体活動量を今より少しでも増やせるように取り組んでみませんか。