タバコによる体への悪影響(2025.12)

この数十年で喫煙による健康被害が多くの人に認知されるようになり、人々の意識は変わりました。国立がん研究セン ターがん統計の令和5年調査によると、習慣的に喫煙している人は15.7% (男性25.6%、女性6.9%) となっており、男女とも減少傾向です。また「改正健康増進法」の施行により、他者のタバコの煙を吸って健康被害を受けてしまう「受動喫煙」を減らすため、施設や店舗などが屋内全面禁煙になるなど、環境の整備も進んでいます。
「タバコは体に悪い」と、なんとなく感じている方は多いと思いますが、今回は具体的に体にどのような影響があるのかご紹介いたします。
(1) 喫煙者本人への影響
喫煙は、がんをはじめ、脳卒中、虚血性心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、結核、糖尿病など様々な病気の発症リスクを高めます。肺がんは4〜5倍、脳卒中は1.3〜2倍、虚血性心疾患は3倍、COPDは6倍もリスクが高くなります。
(2)受動喫煙による影響
受動喫煙との関連が指摘されている肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群の4疾患について、年間約 1万5千人が死亡しており、健康への影響は深刻です。
(3)女性の妊娠、出産への影響
女性の喫煙・受動喫煙による妊娠、出産への影響として、早産、低出生体重、胎児発育遅延などがあげられます。 加えて妊娠中の喫煙受動喫煙は、出生後に乳幼児突然死症候群を引き起こす要因となることが報告されています。
(4)若者への影響
発育期の細胞は感受性が高いため、発がん性物質の悪影響を受けやすく、また動脈硬化を起こしやすくなるなど、 喫煙開始年齢が早いほど健康被害が大きくなります。さらにニコチンの依存度も強くなります。
(5) 加熱式電子タバコによる影響
加熱式電子タバコは販売開始からの年月が浅いため、長期使用に伴う影響は明らかになっていません。ただし、発がん物質や有害物質が含まれるので既存のタバコ同様注意が必 要です。
喫煙による影響をあげましたが、35歳までに禁煙すれば、総死亡リスクがもともと喫煙しなかった人と同様のレベルまで改善することがわかっています。また35歳を超えてからでも、禁煙により呼吸機能の改善、がんになるリスクの低下が確認されています。喫煙されている方は、禁煙できることが望ましいですが、自力で禁煙することが難しい場合は「ニコチン依存症」という病気の可能性があります。個人の意思の強さだけでは禁煙できない場合もありますので、禁煙外来を活用し薬物療法などを受けることも検討してみるとよいでしょう。

